呼吸器外科
肺がんや様々な疾患に対するベストな治療法をサポートします
2024年度 状況報告
呼吸器外科は本年度より照屋、古堅に加えて當山先生が加わっており、部分切除術や正岡1期の縦隔腫瘍、気胸、膿胸症例を執刀してもらっています。本年度に外科専門医を受験予定であり、取得に向けて医局として環境整備をしています。
呼吸器外科は2024年胸部外科学術調査では肺癌手術件数23件と例年と総数に変化ありません。しかし術式が葉切除術10例に対して、区域接受御術が9例と区域切除術の割合が増えています。
もともと当院の症例にはI期症例が多く、本年もIA,IB合わせて19例と大半を占めている事情もあります。
ここ最近は腫瘍最大径2cm以下の末梢型非小細胞肺癌に対して、肺葉切除術と区域切除術を比較した第III相試験(JCOG0802/WJOG4607L試験)の結果、区域切除術が肺葉切除術に比較して全生存率で上回る結果が出たこともあり、全国的に区域切除術の症例が増えています。
しかし断端再発は区域切除術のみに6.8%に発生しているのが問題点とされております。
このため当科では適応を限定し、pure solidの症例やPET-CTで有意なFDG異常集積を示す症例に対しては区域切除術の適応から除外する方針ととっており、現在のところ区域切除術後の断端再発の症例はこれまでありません。
また周術期治療の進歩も最近のトピックで、CHECHMATE 816試験では臨床病期II-IIIB期(第9版)、EGFR遺伝子変異/ALK融合遺伝子陰性もしくは不明例に対して、主要評価項目であるPFSはニボルマブ併用群で有意な延長が示されており、またpCRはニボルマブ併用群で24%と、これまでよりも著明な奏功率を示しており、術前治療で初めて有効なエビデンスが示されています。
当科でもこれまで2例に施行されており、うち1例は手術検体においてpCRを確認しています。しかし試験では手術へ移行できなかった割合が15%に認め、注意が必要です。
またほかにもペムブロリズマブを併用したKEYNOTE 671試験もあり、こちらは術前術後に化学療法+ペムブロリズマブを投与する治療であり、こちらも有効な治療とされています。
肺癌治療が大きく変化する中で、今後も精進していきたいと考えております。これからもよろしくお願い申し上げます。

